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バーナーの性能
珈琲科学館(1F) /焙煎理論(3F)
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焙煎機の火力は、バーナーのガス圧で決めています。 実際に、どのぐらいの炎が伸びているかは実際にはよくわかっていません。 そこで、焙煎機からバーナーをはずして炎の高さをはかってみることにしました。 ちなみに、バーナーは、3kg用焙煎機のプロパン仕様です。

ポット 今回の装置
バーナーを台にしっかりと固定して危なくないようにします。
(思ったよりも怖い)
バーナーがひっくりかえったら本当に火事になると思いました。 それぐらい、やっていて実験が怖く感じられました。
それと、ものさしをたてておきましたが、残念ながら全く役にたちませんでした。 そのため、元のデジカメの画像から炎の大きさを割り出しました。

ポット
50mmaq
炎の高さ 85mm
ポット
100mmaq
炎の高さ 100mm
ポット
150mmaq
炎の高さ 120mm

ポット
150mmaq
炎の高さ 120mm
ポット
200mmaq
炎の高さ 135mm
ポット
250mmaq
炎の高さ 145mm

バーナーの炎
バーナーの炎は、写真にとりにくかったので画像に50%コントラストを強くしてみました。 ただし、実際の焙煎機の場合は、排気を強くすると炎が長くなります。 これは、排気で炎も空気といっしょに吸い上げられるからです。 実際にバーナーの高さ調節機能は5cmもあればじゅうぶんだと思いました。 一番使う領域での炎の高さの差が約5cmで収まるからです。

ポット ガスの吹き出し量をはかる
焙煎機のバーナーのノズルを取り寄せてガスの噴出量を 正確に測定することにしました。 微圧計もバルブも焙煎機に使うものと同じものを使って います。 その状態でガスの吹き出し量はかってみました。 ところが、残念なことにガスの圧力はめちゃめちゃ弱いので この実験装置では、水の中にガスを通すときに圧力が下がってしまうのです。 ですから、実験装置も考え直さないと無理だと感じました。

ポット ポット
ガスの吹き出し量測定装置をつくる
水道の水を上のじょうごに流しっぱなしにします。
(これにより、水圧が一定になる)
じょうごよりホースを通って下のガラスタンクに水がはいります。
(高低差によって圧力をつくっている) ガラスタンクの空気は、微圧計を通ってバーナーのノズルから放出させます。
バルブを適当に調整しておき水を流すと微圧計が適当な圧力をさします。
その状態で、ガラスタンクに一定の量の水がたまるまでの時間を正確にはかります。
(500ccの量で調べました。)

実験データー

ガス圧・・・・・微圧計の数値
ガス流量・・・・そのガス圧時のガス流量
バーナー.(6)・・3kg焙煎機のバーナー火力
バーナー.(9)・・5kg焙煎機のバーナー火力
バーナー.(15) ・5kg河野仕様の焙煎機のバーナー火力

ガス圧
(mmaq)
ガス流量
(ml/s)
バーナー.(6)
(cal/s)
バーナー.(9)
(cal/s)
バーナー.(15)
(cal/s)
30 5.6 792 1187 1979
40   6.3  891  1336 2226
50   6.8  961  1442 2403
60   7.7  1088 1633 2721
70   8.1   1145 1718 2863
80   8.9  1258 1887 3145
90   9.8   1385 2078 3463
100   10.2 1442 2163 3605
110   10.9 1541 2311 3852
120   11.1 1569 2354 3923
130  11.4 1612 2417 4029
140  12.2 1725 2587 4311
150  12.5 1767 2651 4418
160 13.2 1866 2799 4665
170  13.5 1908 2863 4771
180  13.9 1965 2947 4912
190  14.3 2021 3032 5054
200  15.1 2135 3202 5336
210   15.2 2149 3223 5372
220   15.6 2205 3308 5513
230  16.1 2276 3414 5690
240   16.6 2347 3520 5866
250   16.7 2361 3541 5902
260   17.2 2431 3647 6078
270  17.9 2530 3796 6326

結論

ガス圧を10(mmaq)上げると0.5(ml/s)ガス量が上昇する

(バーナー1本に対して)
プロパンガスの燃焼熱
23560(kcal/m3)
23.56(cal/ml)
たとえば、150 (mmaq) の
ガス圧で燃焼した場合
23.56(cal/ml)*12.5(ml/s)=294.5(cal/s)・・・・1本のバーナー

3kgの焙煎機の場合は、バーナーが6本だから
294.5(cal/s)*6=1767(cal/s)・・・・6本のバーナー

5kgの焙煎機の場合は、バーナーが9本だから
294.5(cal/s)*9=2650.5(cal/s)・・・・9本のバーナー

5kg河野仕様の焙煎機の場合は、バーナーが15本だから
294.5(cal/s)*15=4417.5(cal/s)・・・・15本のバーナー

つまり、3kgの焙煎機で200 (mmaq)の火力で焙煎していたものを
5kgの焙煎機で同じ量の豆を焙煎しようと考えた場合、

3kgの焙煎機の200 (mmaq)のときの火力は2135(cal/s)
5kgの焙煎機の火力で2135(cal/s)に近いガス圧は90(mmaq) ぐらいとなります。

この表を使うと少量の焙煎をするときのガス圧の目安になります。
つまり、豆の量が半分になったら、カロリー数が半分になるぐらいの ガス圧を表で調べればいいのです。

* ここでは、焙煎機の蓄熱量や排気力は無視しています。
* 焙煎機はプロパンガス仕様のものです。

燃焼時の水の量 ガスを燃やしたときにどれくらい水がでるか計算してみました。
プロパンガスの化学式・・・・CH3CH2CH3
プロパンガスの燃焼
CH3CH2CH3+5O2---3CO2+4H2O

つまり、プロパンガス1に対して酸素が5必要になります。
実際は、空気に酸素が20%しかないので プロパンガス1に対して空気は25必要となります。 そして、炭酸ガスが3と水が4できます。

ガス圧200mmaqでバーナーを使うと3kg用の焙煎機では 90ml/sのガスがでます。
90/22400=0.004・・・一秒間にバーナーからでるモル数
水4モルの重さ 72g
72*0.004=0.3g

つまり、ガス圧 200mmaq でバーナーを使うと3kg用の焙煎機では 一秒間に 0.3cc の水をつくっていることになるのです。
ちなみに、焙煎時間が20分 ならば、360cc ということになります。

気温と熱量の関係について
プロパンガスも都市ガスもあたりまえですが気体です。
当然、気体というのは気温によって体積が変化します。
そして、その体積の変化は熱量の変化となるわけです。
(微圧計は圧力をはかっていて熱量をはかっているわけではないですから・・・)
ですから、真夏と真冬では同じガス圧でも熱量はまったく違ってしまうのです。

例 3kgの焙煎機・ガス圧 200(mmaq)
火力 
2301(cal/s) 5℃・・・ガス圧 240 相当
2135(cal/s) 25℃
2060(cal/s) 35℃・・・ガス圧 190 相当


つまり、冬はバーナーの火力が表よりも1.078倍高い数値を示し
夏は逆に0.965倍低い数値になるわけです。
だから、夏はガス圧を高めにしなければカロリー不足なるし、冬は逆にガス圧を下げなければ
カロリーオーバーにおちいることになるわけです。

おおざっぱにいえば・・・
秋を基準にすると夏は10mmaq たかく・冬は逆に秋よりも10mmaq 低くする。
(夏と冬では約30mmaqぐらいは変化させてもいいということ)


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